スポーツマウスガードの重要性
「歯は失ったら取り戻せないもの」
スポーツや事故などで歯が折れたり、抜けてしまったりすると、最悪の場合、自分の歯を失ってしまいます。
近年、ラグビー、サッカーなどのスポーツ選手がマウスガードを装着しているところを目にする機会も増えましたが、歯を守るためにはもちろん、パフォーマンスの向上にも効果が期待できる「スポーツマウスガード」の需要が高まってきています。
プロスポーツ選手だけではなく、アマチュアスポーツ、ジュニアスポーツなど幅広く注目されています。
スポーツマウスガードの目的
効果
- 1.全身運動時にマウスピースを装着し、咬合(噛み合わせ)を安定させることで、首回りの筋肉の活動性をあげる。
- 2.首を少しでも固定することで、脳へのダメージや頸椎損傷を軽減させられる効果が期待できる。
- 3.スポーツ選手にとってバランスの感覚は、パフォーマンスに非常に重要な意味を持つ。噛み合わせが悪く、顎の位置も不安定な状態の場合、噛む筋肉に過度な緊張が起き、身体のバランスを崩すことが考えられる。
- 4.マウスガードの装着による噛みしめは、脳の中で運動を司る神経細胞の働きを興奮させ、その興奮がさらに他へ拡延し、体を運動させる細胞の活動を高めるといわれる。
つまり、人間が本来持つ能力を表現できるということになります
保護と予防
下顎骨に強い外力が加わると、口腔周辺部の損傷、顎関節疾患、歯の外傷、下顎骨骨折、そして頭蓋に衝撃が及びます。そして脳幹の毛細血管が切れることがありあます。また、それが原因となってクモ膜下出血をおこすことがあり非常に危険です。
マウスピースによる外傷予防
国際歯科連盟(FDI)の声明によると、
「口腔外傷のリスクをともなう運動・スポーツに参加する際には、年齢に関係なく、全ての人がマウスガードを着用すること」を推奨しています。
スポーツマウスガードの特長
①外傷の予防
・歯の破折
・歯の脱臼(歯が抜ける)
・顎骨骨折
・口の中、口唇周辺の裂傷
②脳震とうの軽減
頭を安定させ、脳や脊椎への衝撃をやわらげ、脳震とうを 起こしにくくします。
③運動性能の向上
噛む位置が安定することで、筋力や瞬発力が良くなることがあり、実力が発揮しやすくなります。
マウスピースを使用した方が良いスポーツ
装着義務のあるスポーツ
- アメリカンフットボール
- ボクシング
- 総合格闘技
- テコンドー
- ラクロス
一部装着義務のスポーツ
- ラグビー(13-19歳)
- アイスホッケー(U-20)
- フィールドホッケー(中学生のみ)
- 空手(組手)
装着が推奨されるスポーツ
- 野球
- ソフトボール
- バスケットボール
- サッカー
- ハンドボール
- バレーボール
- バスケットボール
- 柔道
- 体操
- スキー
- サーフィン
- テニス
- バドミントン
- 水泳
歯科でマウスピースを作るメリット
マウスピースにはいくつかの種類があり、歯科医院で作るマウスピースと市販のマウスピースの違いについてご紹介します。
カスタムメイド・マウスピース(歯科医院)
メリット | デメリット |
---|---|
・適合性が良い ・発音がしやすい ・デザインが豊富 | ・市販のものより高価 ・作成までに時間がかかる ・歯の生え変わりや顎の成長に合わせて定期的に作り直しが必要 |
市販のマウスピース
メリット | デメリット |
---|---|
・安価 ・入手しやすい | ・違和感が大きい(ズレやすい、外れやすい) ・発音しにくい ・歯並び、噛み合わせに影響 |
マウスピース作製の流れ
1.口腔内診察
2.印象採得
3.作製(1〜2週間)
4.マウスピースセット
(注意)
マウスピースを作製する際は、虫歯や歯周病の治療を先に行います。マウスピース作製後に治療を行うと合わなくなる場合があるためです。また、スポーツドリンクを飲む習慣がある方は虫歯のリスクが高くなるので生活習慣の改善から行います。
★マウスピースの価格★要確認★
口腔内検査 ( )
印象採得 (2200)
作製料金 (5500)
合計 (7700)
もし歯が抜け落ちてしまったら
①まず慌てないことです
本人も周囲もショックですので冷静に対応してください。
②歯以外の頭部や顔面にひどい損傷がある場合には、歯科を受診する前に、まず先に救急病院を受診してください。
③抜けた歯を確認
周りに落ちていないか確認します。
④歯を持って急いで受診してください。
必ず成功するとは限りませんが、再植できる可能性があります。
再植後も定期的な検診が必要です。
歯を歯科医院に持ち込む際の注意
歯の根の周りには歯根膜(しこんまく)と呼ばれるとても大事な膜があります。この膜が歯の生着に重要な役割をします。そこで、
・歯の根を触らない
・歯の根をこすらない
・歯の根を乾燥させない
30分以上の乾燥は歯根膜に重度のダメージを与えてしまい。歯の生着率が極端に悪くなるという報告があります。
歯の根の乾燥を防ぐために、歯の保存液、または市販の牛乳に浸けてください。
その場に何もない時は、とりあえず本人の唾液に浸してビニール等に包んで乾燥を防いでください。
細胞は水道水に弱いので、水道水にずっと浸けておくと歯根細胞へのダメージが急速に進みます。